最新データで見る薬剤師の転職事情
2021年10月17日現在、最新の薬剤師の転職事情です。
最新のデータ・資料を元に毎月一回更新し、薬剤師の転職事情を解説しています。
2021年8月の医師、薬剤師等の有効求人倍率は前月(7月)より若干上がり、1.88倍(『一般職業紹介状況(令和3年8月分)について』厚生労働省調べ、報道発表資料)でした。
しかし、統計方法の異なるデータ、(一般職業紹介状況(令和3年6月分))では、2021年6月の『医師、歯科医師、獣医師、薬剤師』の求人倍率はなんと1倍を切る0.95倍となっており、薬剤師不足については解消されつつあるといえます。
年月 | 有効求人倍率 |
2021年8月 | 1.88倍 |
2021年7月 | 1.85倍 |
2021年6月 | 1.76倍 |
2021年5月 | 1.75倍 |
2021年4月 | 1.75倍 |
2021年3月 | 2.04倍 |
2021年2月 | 2.11倍 |
2020年1月 | 2.16倍 |
2020年12月 | 2.05倍 |
2020年11月 | 1.99倍 |
2020年10月 | 1.99倍 |
2020年9月 | 2.01倍 |
2020年8月 | 2.10倍 |
2020年7月 | 2.24倍 |
2020年6月 | 2.38倍 |
2020年5月 | 2.65倍 |
2020年4月 | 2.92倍 |
2020年3月(※1) | 3.34倍 |
2020年2月 | 3.41倍 |
2020年1月 | 3.61倍 |
昨年、
2020年11月、10月は1.99倍、2020年9月は2.01倍、2020年8月は2.10倍、2020年7月は2.24倍、2020年6月は2.38倍、2020年5月は2.65倍、2020年4月は2.92倍、2020年3月は3.34倍、2020年2月は3.41倍、2020年1月は3.61倍、2019年12月は3.73倍と下落傾向でしたが、12月より2倍台に戻りましたが、コロナが流行り始めた4月に再び2倍を切っています。
新型コロナウイルス感染予防対策が行われ、自粛要請が続きましたが、薬剤師の需給は落ちきつつあります。
2020年度は想定していなかった出来事で世界的な不況が引き起こされ、有効求人倍率の下落率は過去に例を見ないほど、早かったです。今後の薬剤師転職事情も少しずつ変化していくでしょう。
そうとはいえ、一般の職業(2021年8月度で有効求人倍率は1.14倍)と比較すると薬剤師は全体的に人手不足であることに変わりはありません。
東京、大阪、横浜、名古屋、福岡、札幌、京都他の都市部で薬剤師の求人が減る傾向にありますが、地方においては依然、薬剤師不足の地域が多く存在します(薬剤師の地域偏在の問題)。
特に日本の高齢社会では、景況に関係なく必要とされますし、地域包括ケアシステム・在宅医療を推進する政府の意向もあります。
したがって、薬剤師の転職事情が多少変化しても、しばらくは一般職よりも優位な状況での転職は続くでしょう。
転職しやすい業界は?
薬剤師が転職しやすい業界はやはり調剤薬局です。
次がドラッグストア、そして病院・クリニック、企業と続きます。
これは主要な薬剤師転職サイトの求人件数からも明らかです。
やはり薬学生の就活時代と同じく、企業求人は非公開求人を含めても少なく、特に大製薬会社への転職は厳しいものがあります。
【主要な薬剤師転職サイトの求人件数(公開求人)】
マイナビ薬剤師 | リクナビ薬剤師 | 薬キャリ | |
調剤薬局 | 27,718件 | 30,704件 | 25,931件 |
ドラッグストア(調剤併設) | 4,978件 | 8,415件 | 2,601件 |
ドラッグストア(OTCのみ) | 9,554件 | 1,725件 | 428件 |
病院・クリニック | 2,730件 | 2,330件 | 2,156件 |
企業(管理薬剤師・学術) | 207件 | 198件 | 235件 |
(※2021年2月3日現在の求人公開数)
最新の薬剤師転職事情を熟知した人気の薬剤師転職サイトで、さらにリアルな求人情報が手に入ります。
最新!薬剤師の業界別転職事情
転職の際代表的な調剤薬局、ドラッグストア、病院、企業(製薬会社)の薬剤師転職事情を知っておくとよいでしょう。
未経験でも業界、職種が違っても転職できる可能性はあります。
たとえば、人気があり最も転職の成功しやすいのが、大学病院・総合病院などの病院薬剤師から調剤薬局・ドラッグストア業界への転職です。
その他にも調剤薬局から企業や病院への転職への成功事例も多数あります。
転職事情を知った上で転職活動を進めていきましょう。
調剤薬局の薬剤師の転職事情
【調剤薬局業界の総売上ランキングTOP10】
調剤薬局業界の薬剤師転職事情です。
日本保険薬局協会(NPhA)の調査(※2)によると約8割が来局患者が減少したとしています。
また日経ドラッグインフォメーション Online (DI Online)の薬局薬剤師会員を対象にした調査(※3)では、薬局の7割以上で応需処方箋枚数が前年同月比で減少との報道もありました。
しかし、調剤医療費は7兆4千億円(2018年度)を超え、処方箋枚数は年々増加、全国の薬局数は5万9千件を超えています。
つまり薬剤師求人の二ーズは常にある状態です。
新型コロナ感染拡大の影響で求人数は減ったものの、調剤薬局の転職事情はしばらくは安泰と言えるでしょう。
ドラッグストアの薬剤師の転職事情
【ドラッグストア業界の総売上ランキングTOP10】
ドラッグストア業界の薬剤師の転職事情です。
特に新型コロナの影響でインバウンド需要を見込んでいたインバウンド特化型のドラッグストアは2月以降、売り上げを落としています。
しかし、ドラッグストア全体ではマスク、除菌関連商品、トイレロール、ティッシュペーパーの特需により、売上が伸びている会社が多いです。
全国のドラッグストアの総店舗数が2018年度に2万件を超え、総売上高は7兆2,744億円を記録しました。
2020年度は新型コロナウイルスの影響で店舗数の伸びが抑えられる可能性がありますが、未病や予防医療の意識の高まりや大手ドラッグストアの統合・再編の動きが活発化し、ドラッグストアの存在感がより大きくなると考えられます。
コロナ禍でも求人数は増加傾向にあります。
薬剤師の転職希望者の採用活動にもプラスに働くことになるでしょう。
病院・クリニックの薬剤師の転職事情
病院薬剤師の転職事情です。
2020年、病院・クリニック(診療所)は様々な意味で新型コロナウイルスの影響が大きかったです。
薬学生の就活でも人の動きが大幅に制限されたことで、採用活動に支障が出ています。
もともとは欠員募集の多い病院・クリニックですので中途採用に関しても積極的に行う可能性はありますが、現状は様子見です。
企業の薬剤師の転職事情
【企業の薬剤師の売上ランキング】
■製薬企業
■卸企業
企業の薬剤師転職事情です。
一言で企業の薬剤師といっても、臨床開発、CRA、MR、MS、CRAなど職種は非常に多岐にわたっています。
異業種への転職がしやすい薬剤師ですが、求人数自体が少ないので一部を除いて、未経験での転職は厳しいでしょう。
特にMRに関しては、従来のリストララッシュに加え、医療機関への出入りができなくなり、外来患者が減ったこともさらなる逆風となり、新卒・中途入社ともに採用を控える傾向が続いています。
しかし、元々企業や病院に勤めていた場合、職種によっては難易度に大きな差がありますが、転職は可能です。
実際にコロナ禍において相談が増え、医薬品メーカーで薬剤師の求人は若干増えました。
薬剤師の転職事情は社会情勢、業界、職種によって大きく変わってきます。常に最新の情報を仕入れて、行動するようにしましょう。