潜在看護師とは?ブランクありで中途採用されるための方法
潜在看護師から再就職するための不安解消法や準備についてまとめています。
潜在看護師とは?
潜在看護師とは?ブランクありの再就職にお勧めの職場【簡単解説動画】
潜在看護師とは、看護師免許を保有しているけれど、現在は看護師として働いていない人のことを言います。
この潜在看護師は、2012年の厚生労働省の調べで約71万人いることが判りました(※1)。
潜在看護師の人数について、それ以降の調査はありません。
2019年末時点での看護師資格保有者は207万人ですが、死亡者数を含んでいるため正確な人数は判らないのです。
しかし、2018年時点で就業中の看護師が128万8,606人、准看護師が30万4,479人で合わせて約160万人であることを考えると、相当な数の元看護師さん(潜在看護師)がいることは判ります。
2024年にはマイナンバー情報を国家資格管理システムと連携、整備し、緊急時に備え看護師を資格保持者を一元把握することが予定されているので(※2)、その時になって初めて正確な潜在看護師数も判るでしょう。
現在のコロナ禍だけではなく、2025年の超高齢社会において看護師さんの需要は高く、その社会的意義は高いです。
※1
参考:「潜在看護師数約71万人」の根拠は、厚労省が看護師資格保有者に対して、各年齢別の平均生存率掛け合わせ、65歳以下の人数を試算したものです。
潜在看護師の再就職・復職の悩み
潜在看護師の悩みは共通しています。
おおよそ以下のような不安を抱えていることが多いです。
「10年間働いていなかったから、今の医療現場についていけるだろうか」
「仕事とプライベートを両立できるかな」
「ブランクが長かったから、就職先が決まるかどうか心配」
などブランクがあるけれども復職できるかどうか、不安に感じている声が多いです。
しかし、上記のような不安に対する解決策は意外に簡単で、情報を収集することで解消されます。
たとえば、看護師を辞めた時よりも進んでいるはずの医療現場についていけるか心配なら、最近の医療現場を知ったり、看護師として働けるどのような職場であれば不安を感じずに済むのかを考えると良いのです。
必要な情報を得ることで、潜在看護師として抱えてる不安を軽減することができます。
看護師不足が慢性化している状況で、ブランクがあっても再就職を考えている看護師さんの復職は社会的にも非常に価値のあることです。
このページではそんな不安を払拭し、復職するために必要な知識を提供していきたいと思います。
復職前に準備しておきたい5つのこと
早速、復職する不安を軽減するために、準備しておきたいことを5つ挙げます。
- 家族・パートナーと話し合う
- 今後のプランを立てる
- 看護知識の復習をする
- 勤務先の選定を慎重に行う
- 雇用形態を検討する
①家族・パートナーと話し合う
当たり前のことですが、復職後には生活が変化しますので、あらかじめ家族と話しあっておきましょう。
たとえば出産をきっかけに離職した場合は、復職後もこれまでと同じように育児や家事の負担があるととても大変ですよね。
家族には復職後のイメージを共有して、家事の割り振りの見直しなどを行うようにしましょう。
②今後のプランを立てる
看護師として再就職するために、計画を立てて見ると良いです。
あなたの人生の目的(GOAL)から逆算して、短期、中期、長期の目標を立ててみます。
長期目標は1年〜10年、中期目標は3ヶ月〜1年、短期目標は数週間〜3ヶ月を目処にするとよいでしょう。
目的、目標を立てることが、転職の面接においての自己PRや志望動機につながります。
③看護知識の復習をする
・看護協会の復職支援制度を活用する
ブランクがある看護師の復職を支援するために、各都道府県の看護協会では「復職支援研修」を行っています。
復職支援研修では復職にあたっての心構えのほか、基礎的な看護ケアについて復習することが可能です。
復職支援研修の参加費は有料のものもありますが、無料のものが多いですし、研修中の保険料や交通費を看護協会が負担してくれることがあるので、気軽に受けることができます。
コロナ禍では、インターネット配信研修も準備されています。
④勤務先の選定を慎重に行う
復職するときは、少しずつ看護師時代の勘を取り戻していけるように、忙しすぎない職場を選ぶことをおすすめします。
たとえば、以下のような職場です。
- クリニック
- 健康診断専門のクリニック
- 病床数が少ない病院
- 介護施設や老人ホーム
上記の職場は、医療処置をする機会が少ないですし、比較的落ち着いています。
また、上記以外でも勤めた経験がある病院や診療科なら、復職後になじむのが早いです。
ちなみに、クリニックや介護施設への転職については、以下の記事も参考になります。
それでは反対に、ブランクがある看護師がさけた方が良い職場は、①非常に忙しかったり、②迅速な医療処置を求められたり、③緊急対応が必要だったりする職場であるといえます。
たとえば、以下のような職場はさけた方が無難です。
- 検査が多くて忙しい
- 急変の可能性が高い
- 重症の患者さんが多い
循環器、消化器、脳神経外科など
救命病棟、集中治療室、産科
救命病棟、集中治療室、産科
このようなお話しすると、「働きたい診療科が上記に該当しているけど、違う診療科にしたほうがいいのだろうか」と不安に思う人がいるかもしれません。
しかし、過去にこうした診療科での勤務経験があり、ブランク期間があまり長くなければ、転職先として検討しても問題ないでしょう。
初めての診療科で未経験の場合は、勉強と相当な覚悟が必要です。
以上のことから、自分の行きたい診療科が定まってきたら、具体的な勤務先を探していきます。
その時に確認したいのが、「プリセプターをつけてもらえるかどうか」です。
ブランクのある看護師は経験者とはいえ、忘れてしまっている看護知識やケアがある可能性があります。
こうした状況で、職場内に気軽に相談できる相手がいないと不安ですし、万が一ミスが起きては困ってしまうでしょう。
そのため、プリセプターをつけてくれる勤務先を選ぶと安心できます。
また、最近では、復職する看護師にとっては心強い「PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)」という制度も広まってきました。
PNSとは、二人の看護師が複数の患者を同時に受け持つ仕組みのことです。
なぜPNSが復職した看護師にとって心強いと言えるのかというと、ベテラン看護師の看護を間近で学ぶことができ、いつでも相談ができるからです。
こうしたプリセプター制度やPNS制度があるかは、復職を希望する求人票を確認したり、質問してチェックするとよいでしょう。
⑤雇用形態を検討する
上記でお話しした勤務先選びと同じように重要なのは、どんな雇用形態を選ぶかです。
復職する場合は、常勤、非常勤、派遣のいずれかの雇用形態を選ぶことになります。
1.常勤
常勤とは「正社員」のことです。
長期間勤務することになるので、体力的な負担が大きいですが、その分給与水準は高い働き方です。
2.非常勤
非常勤とは、「パート・アルバイト」のことです。
非常勤で働く最大のメリットは、勤務曜日や勤務時間を調整しやすいことです。
3.派遣
派遣で働く場合は非常勤と同じく、勤務曜日や勤務時間を調整しやすいです。
ただ、長く同じ職場に勤められないこともあるので、注意しましょう。
雇用形態は、ブランク期間やあなたが希望する給与水準や勤務時間を考えながら、決めるとよいです。
たとえば、はじめは非常勤でスタートして、慣れてきたら常勤を検討する方法もよいでしょう。
常勤より非常勤の方が求められる負担が軽いので、プレッシャーが少ない状態でスタートできるからです。
『潜在看護師とは?ブランクありで再就職するために』のまとめ
- 潜在看護師とは、看護師免許を保有しているが、現在は看護師として働いていない人のこと
- 潜在看護師の再就職・復職の悩みを解決するのに5つの準備(①家族・パートナーと話し合う②今後のプランを立てる③看護知識の復習をする④勤務先の選定を慎重に行う⑤雇用形態を検討する)が必要である
- 復職の際は忙しすぎない職場(クリニック、健康診断専門のクリニック、病床数が少ない病院、介護施設や老人ホーム等)を選ぶとよい
- 復職の際に避けた方が良い職場は①検査が多くて忙しい、②急変の可能性が高い。③重症の患者さんが多い、職場である
- 雇用形態は、ブランク期間や希望する給与水準や勤務時間を考えながら決めるとよい