保健師の仕事と求人状況は?
保健師の仕事と求人状況をはじめ、保健師と看護師との違い、保健師になる方法、年収(給与)、インタビューです。
保健師の仕事と最新の求人状況
保健師の仕事と最新の求人状況の解説動画(1分あまり)です。
↓
厚生労働省の調査によると、保健師の数は、2018年末時点で全国に52,955人(男 1,352 人、女 51,603 人)で、2年前と比較すると1,675 人(+3.3%)増えています。
就業場所で最も多いのは「各市町村」で56%、次に「保健所」15.3%で、そして「事業所」 6.3%、「病院」6.2%、「診療所」3.8%と続きます。
就業場所からも分かる通り、保健師は公務員として働く「行政保健師」が最も多いです。
保健師全体の約60%が行政保健師として勤務しています。
市区町村や地域の保健所で働く保健師の仕事は、地域の住民の健康を守ることを主な仕事としています。
その内容は育児の相談にのってアドバイスしたり、自宅療養している高齢者の訪問までまで幅広いです。
その他、企業の医務室などで働く「産業保健師」や、学校の保健室では働く「学校保健師」(看護教諭)があります。
もちろん看護師免許も有しているので、病院で働く「病院保健師」のほか介護施設で働く保健師もいます。
有効求人倍率をみると、保健師は他の看護職と比較するとそれほど高くありません。
保健師だけの求人では、おおよそ1倍台前半だと推測できます。
仕事がないのかというとそうではありません。
看護師転職サイトをみると、保健師の求人では産業保健師や地域包括支援センターの求人募集が多くあります。
ただし、人気の産業保健師はかなりの競争率になることを覚悟しておかなければなりません。
保健師の求人事情は他の看護職と異なる
保健師の求人は、他の看護職に比べると少し色合いが異なります。
たとえば保健師で一番多い『行政保健師』は公務員試験を受けなければなりません。
したがって、30歳を超えると行政保健師になること自体が困難になります。
地方自治体によって年齢制限が異なりますが、ほとんどが30歳を募集の区切りとしているからです。
もし行政保健師になりたいというのであれば、20代のうちに公務員試験に合格しなければならないでしょう。
看護師の求人倍率は2~3倍で売り手市場です。
しかし、保健師だけに限った場合、売り手市場とはいえません。
ナースセンターの資料(※2)をみると、看護職(保健師)の職場別の求人倍率が分かります。
保健師が雇用の中心と推測できる施設、たとえば、市区町村・保健センターでは、0.34倍、地域包括支援センターで0.3倍、都道府県・保健所で0.16倍とかなりの狭き門です。
訪問看護ステーションが3.78倍で、看護師1人に対し4人近くの求人があるのに対し、都道府県・保健所の場合、1件の求人募集に対し、保健師が6~7人殺到することになります。
求人はあっても、条件・待遇の良い「産業保健師」やなかなか空きのでにくい「学校保健師」の求人募集に対しては、常にアンテナを張っていなければなりません。
保健師として働くには知人や同僚などの人脈や看護師紹介会社を利用してみるとよいでしょう。
保健師と看護師の仕事の違いは?
保健師は、保健師助産師看護師法で「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」とある通り、保健指導を主な仕事としています。
看護師は医師の診療の補助、患者さんの療養上の世話を主としています。
保健師は赤ちゃんから老人までの健康相談・保健指導、地域や企業など集団の健康管理を行います。
つまり個人、家族、集団、地域までを看護の対象ととらえなければなりません。
したがって、個人の問題を見る「蟻の目」と地域全体の健康課題を見る「鳥の目」が必要です。
保健師の働き方
保健師の働き方は主に3つあります。
行政保健師 | 都道府県、市区町村、保健所、保健センター等の行政機関で、地域の住民の健康の増進を図るために保健サービスを行います。 (行政保健師として勤務するには、公務員採用試験に合格する必要があります。) |
産業保健師 | 大学、専門学校、小学校、中学校、高校などで働き、児童や生徒、職員の心身の健康、秒雨季の予防、ケガ、急病に備え、処置を行います。 |
学校保健師(養護教諭) | 大学、専門学校、小学校、中学校、高校などで働き、児童や生徒、職員の心身の健康、秒雨季の予防、ケガ、急病に備え、処置を行います。 (小・中学校で勤務するには養護教諭2級免許が、公立学校なら公務員採用試験に合格する必要があります。) |
保健師の仕事には、母子保健、精神保健、成人保健、高齢者保健・介護予防、難病保健・介護予防、感染症保健、学校保健、産業保健など様々な活動があります。
保健師の年収、給与は?
厚生労働省の調べによると、保健師の平均年収は約560万円です。
看護師の平均年収が約479万円なので、その差は約80万円です。
保健師になる方法は?
保健師になるには、まず看護師資格が必要です。
の2つのルートが準備されています。
保健師になるために通う学校の学費はどの位?
看護師資格取得後から目指す場合の学費の目安
大学院(国公立) | 約55万円 |
大学院(私立) | 約100万~135万円 |
短期大学専攻科 | 約100万~150万円 |
専門学校(公立)1年 | 約25万円~65万円 |
専門学校(私立)1年 | 約130万~190万円 |
高校卒業後から目指す場合の学費の目安
大学(国公立) | 約55万円 |
大学(私立) | 約120万~200万円 |
専門学校・4年 | 約80万~160万円 |
保健師の場合も助産師と同じく、授業料の安い国公立の方が入学が難しくなっています。
厚生労働省ウェブサイトより、2019年度の『第105回保健師国家試験』の結果が公表されています。
結果は合格率が全体で81.8%、新卒者は88.1%でした。
同年の看護師が全体で89.3%、助産師が99.6%であることから、他の看護職に比べると保健師はになるのは難しいといえるかもしれません。
保健師さんインタビュー
保健師のメリット・デメリット
(Mさん、女性/30代前半/北海道)
最初の就業先:クリニック・診療所
保健師資格取得:看護大学・看護専門学校の保健師教育選択コース(同時取得)
保健師のキャリア:9年?10年未満
転職経験:2回
年収:400万円→450万円
地域の人々に頼られる存在になりたい
(Kさん、女性/30代前半/東京都)
最初の就業先:保健所・保健センター
保健師資格取得:短期大学専攻科
保健師のキャリア:6年〜7年未満
転職経験:なし
年収:520万円
地域の人々に親身になって頼られる存在でありたい。
『保健師の仕事と求人状況は?』のまとめ
- 保健師の主な仕事は健康相談、保健指導で対象は個人から集団、地域まで幅広い。
- 保健師の就業場所は、市町村が56%で、保健所が15.3%、事業所が6.3%である
- 保健師は全国で約5万3千人いる
- 主に保健師には公務員として働く行政保健師、事業所に勤務する産業保健師、学校で働く学校保健師がある
- 厚生労働省の調べによると保健師の平均年収は約500万円である
- 保健師になるには、大学院修士課程(2年)、短期大学専攻科(1年)、専門学校(1年)がある
- 保健師の合格率は81%以上で、毎年6千人以上が合格している
※1)『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』(厚生労働省)
②看護師資格を取った後、大学院修士課程(2年)、短期大学専攻科(1年)、専門学校(1年)のいずれかに通うルート